卵管間質部妊娠の手術ビデオ

TC療法はTP療法に非劣性である-卵巣癌III期の術後補助化学療法

第3相臨床試験の結果

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

Imiquimod は VIN にも有効である

Imiquimod は尖圭コンジローマの治療に用いられる。同じ HPV 関連疾患である外陰の HSIL(vHSIL, VIN)にも効果があるだろうか。vHSIL に対する imiquimod と手術を比較した第3相臨床試験によれば、どちらも奏効率は 80% 程度で、imiquimod は手術に対して非劣性であった。手術は病巣切除が 42%、laser ablation が 54%に行われた。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

妊娠 24 週未満で血圧 140/90 mm Hg 以上なら降圧薬を投与する方がよい

妊娠中、血圧が 160/105 mm Hg 以上になると、通常は降圧薬が投与される。しかし、比較的軽症の妊娠高血圧で降圧薬を投与する方がよいかどうかはあまりよくわかっていなかった。第3相臨床試験の CHAP 試験によれば投与する方がよいようだ。

妊娠 24 週未満で血圧が 140/90 mm Hg を超えている場合、降圧薬を投与しない場合と比較して投与する方が preeclampsia や 35 週未満の早産のリスクを減少させた。降圧薬投与により低出生体重児は増加しなかった。降圧薬としては、約62%で labetalol が投与され、約36%で  nifedipine が投与された。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

R による連続確率分布と累積分布の描画

正規分布、t 分布、カイ2乗分布、F 分布、ベータ分布、ワイブル分布、一様分布、ガンマ分布、コーシー分布、指数分布、対数正規分布、べき分布(パレート分布)を描画する(Distributions)。

正規分布

正規分布と標準正規分布を描く。

#正規分布。平均50、標準偏差5。
curve(dnorm(x,50,5),30,70) #確率分布
curve(qnorm(x,50,5)) #累積分布
#標準正規分布
curve(dnorm, -5,5) #確率分布
curve(qnorm) #累積分布

t 分布

ここでは自由度を1としている。

curve(dt(x,1),-1,1) #確率分布
curve(qt(x,1)) #累積分布

カイ2乗分布

ここでは自由度を3としている。

curve(dchisq(x, 3)) #確率分布
curve(qchisq(x, 3)) #累積分布

F 分布

ここでは自由度を5と10としている。

curve(df(x,5,10)) #確率分布
curve(qf(x,5,10)) #累積分布

ベータ分布

ここではパラメータを0.3と0.5としている。

curve(dbeta(x,0.3,0.5)) #確率分布
curve(qbeta(x,0.3,0.5)) #累積分布

ワイブル分布

ここでは shape = 0.8, scale = 2 としている。

curve(dweibull(x,0.8,2)) #確率分布
curve(qweibull(x,0.8,2)) #累積分布

一様分布

curve(dunif(x,-1,1),-1.1,1.1) #確率分布
curve(qunif(x,-1,1)) #累積分布

ガンマ分布

ここでは shape = 2, scale = 1.5 としている。

curve(dgamma(x,2,1.5),0,5) #確率分布
curve(qgamma(x,2,1.5)) #累積分布

コーシー分布

ここでは location = 0, scale = 1 の標準コーシー分布としている。

curve(dcauchy(x,0,1),-1,1) #確率分布
curve(qcauchy(x,0,1)) #累積分布

指数分布

ここでは rate = 2 としている。

curve(dexp(x,2)) #確率分布
curve(qexp(x,2)) #累積分布

対数正規分布

ここではパラメーターを 1, 2 としている。

curve(dlnorm (x,1,2),1,3, log = "xy") #確率分布
curve(qlnorm (x,1,2)) #累積分布

べき分布(パレート分布)

ここでは a を shape、b を scale として関数を定義し、a = 2, b = 1 としている。

#確率密度関数
Fd = function(x, a, b) a/b * (b/x)^(a+1) 
curve(Fd(x,2,1),1,10, log = "xy")
#累積分布関数
Fq = function(x, a, b) 1-(b/x)^a
curve(Fq(x,2,1))

プラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対する PARP inhibitor と化学療法の比較

Olaparib は PARP inhibitor である。Cediranib は VEGFR 阻害薬である。いずれも経口薬である。

NRG-GY004 は、最終のプラチナ製剤投与後6ヶ月以上経過して再発した卵巣癌を対象とした第3相臨床試験である。化学療法(TC 療法、GC 療法、PLD-C 療法)群と、Olaparib 群あるいは Olaparib+Cediranib 群を比較している。

その結果、Olaparib 群も Olaparib+Cediranib 群もいずれも化学療法群と PFS に有意差はなかった。

BRCA germline mutation がある場合、Olaparib+Cediranib 群は化学療法群よりも有意に PFS が長かった。Olaparib 群は化学療法群と有意差がなかった。

BRCA germline mutation がない場合、Olaparib+Cediranib 群は化学療法群と PFS に有意差はなかった。Olaparib 群より化学療法群の方が有意に PFS が長かった。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

PARP inhibitor は卵巣癌の OS を延長しないかもしれない

Cochrane review によれば、卵巣癌化学療法後の PARP inhibitor による維持療法は、OS を延長しない可能性がある。しかし PFS は延長する。

以上に加え、以下の可能性もある。

  • 化学療法に PAPR inhibitor を併用しても卵巣癌の PFS を延長しない。
  • プラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対する治療では、化学療法と PARP inhibitor で OS に有意差はない。
  • プラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌に対する PARP inihibitor の効果は meta-analysis が行えるほどの evidence がない。
Archie Cochrane につきましては、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』のコラムもご参照ください。

dose dense TC 療法は、TC 療法と比較し、卵巣癌の OS を延長しない

Cochrane review によれば、卵巣癌に対するTC 療法と dose dense TC 療法の初回治療効果を比較し、両者で OS に有意差を認めなかった。PFS は dose dense TC 療法の方が長かった。ただしこの meta-analysis は厳密な意味では TC 療法と dose dense TC 療法を比較したものではなく、PTX を weekly で投与する効果を調べたものである。

この Cochrane review は、GOG-0262 試験、ICON-8 試験、JGOG-3016 試験、MITO-7 試験の meta-analysis である。これらのうち最初の3つの試験は TC 療法と dose dense TC 療法との比較であるが、最後のMITO-7 試験は TC 療法と weekly TC 療法との比較である。また、GOG-0262 試験では 84%で Bevacizumab が併用されているが、他の試験では Bevacizumab は併用されていない。

Archie Cochrane につきましては、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』のコラムもご参照ください。

Python による主成分分析と因子分析

sklearn.decomposition.PCA を使い、主成分分析を行う。また、sklearn.decomposition.FactorAnalysis を使い、因子分析を行う。

Python を起動し、必要なライブラリを import する。

import numpy as np
import pandas as pd
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from sklearn.decomposition import PCA, FactorAnalysis

通常は Excel 等で作成した CSV ファイルを pandas に読み込んで分析する。しかし、ここでは便宜的に以下の簡単なデータフレームを作成し、data という変数に格納しておく。

data = pd.DataFrame({"手術時間":[60,50,100,90,30,40,80,90], "出血量":[15,100,90,20,18,20,120,90], "結紮失敗回数":[0,1,2,3,2,1,5,1]})

data の内容を確認する。

data

data を標準化する。

sc = StandardScaler()
sc.fit(data)
data_s = sc.transform(data)

sklearn.decomposition.PCA を使い、主成分分析を行う。

pca = PCA()
pca.fit(data_s)
data_t = pca.transform(data_s)
 
data_t  #主成分得点

pca.explained_variance_ratio_  #寄与率
np.cumsum(pca.explained_variance_ratio_)  #累積寄与率

pca.explained_variance_ #固有値
pca.components_ #固有ベクトル

第1主成分(PC1)と第2主成分(PC2)で散布図を描きたい場合は matplotlib を使う。

from matplotlib import pyplot as plt
x = data_t[:, 0] #第1主成分を抽出
y = data_t[:, 1] #第2主成分を抽出
plt.figure()
plt.scatter(x, y)
plt.grid()
plt.xlabel("PC1")
plt.ylabel("PC2")
plt.show()

sklearn.decomposition.FactorAnalysis を使い、因子分析を行う。ここでは因子数は 1、varimax 回転を選択している。

FA = FactorAnalysis(n_components = 1, rotation = "varimax") 
FA.fit_transform(data_s) #因子得点
FA.components_ #因子負荷量

Python による Kaplan-Meier 法、ログランク検定、Cox 比例ハザードモデル

lifelines を使い、ログランク検定および Cox 比例ハザードモデル分析を行う。

必要なライブラリを import する。

!pip install lifelines #必要な場合のみ
from lifelines import KaplanMeierFitter, CoxPHFitter
from lifelines.statistics import logrank_test
import pandas as pd

通常は Excel 等で作成した CSV ファイルを R に読み込んで分析する。しかし、ここでは便宜的に以下の簡単なデータフレームを作成し、data という変数に格納しておく。打ち切り = 0 なら打ち切りありとしている。

data = pd.DataFrame({"患者番号":[1,2,3,4,5,6,7,8,9,10], "抗がん剤":["A","A","A","A","A","B","B","B","B","B"], "生存期間":[20,30,40,50,60,55,75,105,115,120], "打ち切り":[1,1,1,1,0,1,1,1,1,0], "全身状態":[2,3,2,3,2,0,1,0,0,1]})

data の内容を確認する。

data

data から A 群、B 群をそれぞれ抽出し、Kaplan-Meier モデルに適合させる。

#A 群
A = data.query('抗がん剤 == "A"')
kmf_A = KaplanMeierFitter()
kmf_A.fit(A.生存期間, A.打ち切り)

#B 群
B = data.query('抗がん剤 == "B"')
kmf_B = KaplanMeierFitter()
kmf_B.fit(B.生存期間, B.打ち切り)

Kaplan-Meier 法により、抗がん剤 A 群と抗がん剤 B 群を比較する。

#生存期間中央値
kmf_A.median_survival_time_
kmf_B.median_survival_time_

#生存確率、信頼区間
kmf_A.confidence_interval_survival_function_
kmf_B.confidence_interval_survival_function_

#5年 (60カ月) 生存率
kmf_A.predict(60)
kmf_B.predict(60)

#Kaplan-Meier 曲線の図示
kmf_A.plot() and kmf_B.plot()

ログランク検定を行う。

result = logrank_test(A.生存期間, B.生存期間, A.打ち切り, B.打ち切り)
result.print_summary()

p 値をもっと正確に知りたい場合は以下のようにする。

result.p_value

次に、Cox 比例ハザードモデル分析を行う。lifelines で Cox 比例ハザードモデル分析を行う場合、data に “A”、”B” などの文字が含まれているとうまく解析できない。また、変量名に “生存期間” などの日本語(2バイト文字)を使うとグラフのラベルに表示されない。

以上を踏まえ、あらためて以下の簡単なデータフレームを使う。

data_cox = pd.DataFrame({"Group":[0,0,0,0,0,1,1,1,1,1], "Duration":[20,30,40,50,60,55,75,105,115,120], "Censor":[1,1,1,1,0,1,1,1,1,0], "PS":[2,3,2,3,2,0,1,0,0,1]})

data_cox の内容を確認する。

data_cox

Cox 比例ハザードモデル分析を行う。

cph = CoxPHFitter()
cph.fit(data_cox, "Duration", "Censor")
cph.print_summary()

各変量の信頼区間をグラフに描出することもできる。

cph.plot()

R による Kaplan-Meier 法、ログランク検定、Cox 比例ハザードモデル

survdiff コマンドを使い、ログランク検定を行う。また、coxph コマンドを使い、Cox 比例ハザードモデル分析を行う。

必要なライブラリを import する。

library(survival)

通常は Excel 等で作成した CSV ファイルを R に読み込んで分析する。しかし、ここでは便宜的に以下の簡単なデータフレームを作成し、data という変数に格納しておく。打ち切り = 0 なら打ち切りありとしている。

data = data.frame(患者番号 = c(1,2,3,4,5,6,7,8,9,10), 抗がん剤 = c("A","A","A","A","A","B","B","B","B","B"), 生存期間 = c(20,30,40,50,60,55,75,105,115,120), 打ち切り = c(1,1,1,1,0,1,1,1,1,0), 全身状態 = c(2,3,2,3,2,0,1,0,0,1))

data の内容を確認する。

data

Kaplan-Meier 法により、抗がん剤 A 群と抗がん剤 B 群を比較する。Surv コマンド、survfit コマンドを使う。

kaplan = survfit(Surv(生存期間, 打ち切り) ~ 抗がん剤, data)
kaplan #生存期間中央値と信頼区間
summary(kaplan) #生存確率、標準誤差、信頼区間
plot(kaplan) #Kaplan-Meier 曲線の図示

Surv コマンド、survdiff コマンドを使い、ログランク検定を行う。

survdiff(Surv(生存期間, 打ち切り) ~ 抗がん剤, data)

coxph コマンドを使うと、ログランク検定の結果に加え、Cox 比例ハザードモデル分析による尤度比検定、Wald 検定の結果も得られる。

cox = coxph(Surv(生存期間, 打ち切り) ~ 抗がん剤, data)
summary(cox)

Cox 比例ハザードモデルの説明変量を増やし、多変量解析とすることもできる。ここでは「全身状態」を説明変量に加えている。

cox.multi = coxph(Surv(生存期間, 打ち切り) ~ 抗がん剤 + 全身状態, data) 
summary(cox.multi) #結果の表示
AIC(cox.multi) #赤池情報量基準

Cemiplimab は再発子宮頚癌に有効である

Cemplimab は免疫チェックポイント阻害薬(抗 PD-1 抗体)である。

第3相臨床試験の EMPOWER-Cervical 1/GOG-3016/ENGOT-cx9 によれば、化学療法単剤と比較して Cemiplimab は OS を延長した。PFS も延長した。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

EMA/CO療法レジメン

◆婦人科での保険適用

絨毛性疾患

ただしVCRだけは絨毛性疾患に保険適用がない。

◆減量基準

減量はしない。患者の状態によっては治療を1週間遅らせる

◆Emetic risk:moderate

◆投与方法

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1MTX200 mg/m212 hDay 1
2MTX100 mg/m230 minDay 1
3Act-D0.5 mg/body15 minDay 1、Day 2
4VP-16100 mg/m21 hDay 1、Day 2
5VCR1.0 mg/m215 minDay 8
6CPA600 mg/m22 hDay 8
MTX開始24時間後より、Calcium folinate 15 mgを12時間毎に計4回経口投与する。
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
子宮体がんに使う薬物療法レジメン

GD(GEM + DTX)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

肉腫に対して使用されるレジメンであるが、保険適用はない。DTXは子宮体癌に対して保険適用があるが、GEMは卵巣癌にしか保険適用がない。

◆減量基準

患者の状態によって以下のように減量する。

第1段階:全体量を25%減量。第2段階:DTXを省略(血清ビリルビン値が正常上限を超える場合)。第3段階:GEM、DTXともに省略。

放射線治療の前治療歴がある場合、GEMを675 mg/m2に減量し、DTXを25%減量する。

◆Emetic risk:low

◆投与周期と回数

21日周期。PD(Progressive disease)となるまで続ける。

◆投与方法

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1GEM900 mg/m230 minDay 1、Day 8
2DTX75 mg/m21hDay 8
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
子宮体がんに使う薬物療法レジメン

PTX/PLD/TOP+Bev 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

(がん薬物療法後に増悪した)卵巣癌。

PTX + Bevの本法での使用方法は厳密には保険適用外使用である。

◆Emetic risk:low

◆投与方法

PTX+Bev-28 日周期

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1PTX80 mg/m21 hDay 1、Day 8、Day 15、Day 22
2Bev10 mg/kg90-30 minDay 1、Day 15

PLD+Bev-28 日周期

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1PLD40 mg/m290 minDay 1
2Bev10 mg/kg90-30 minDay 1、Day 15

TOP+Bev-21 日周期

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1TOP1.25 mg/m230 minDay 1-5
2Bev15 mg/kg90-30 minDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン

NDP+CPT-11療法レジメン

◆婦人科での保険適用

卵巣癌、子宮頚癌

◆減量基準

患者の状況によりCPT-11を10 mg/m2、NDPを10 mg/m2減量する。

◆投与周期と回数

28日毎、6 cycle。

◆投与方法

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1CPT-1150 mg/m22 hDay 1、Day 8、Day15
2NDP60 mg/m21.5 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン
子宮頚がんに使う薬物療法レジメン

TN(PTX + NDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

卵巣癌、進行又は再発の子宮頚癌

◆減量基準

患者の状況により以下のように減量する。

 PTXNDP
通常投与量175 mg/m280 mg/m2
第1段階減量150 mg/m270 mg/m2
第2段階減量135 mg/m260 mg/m2
第3段階減量110 mg/m250 mg/m2

◆投与周期と回数

21日毎、6 cycle。

◆投与方法

 抗がん剤投与量投与時間投与日
1PTX175 mg/m23 hDay 1
2NDP80 mg/m21 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン
子宮頚がんに使う薬物療法レジメン

IAP(IFM + DXR + CDDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

子宮肉腫

IFMとDXRは悪性軟部腫瘍に保険適用がある。DXRとCDDPは子宮体癌に保険適用がある。

◆減量基準

患者の状態によりIFMとCDDPを20%減量する

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎、4 cycle。

◆投与方法

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。IFMによる出血性膀胱炎対策が必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1IFM1.2 g/m21 hDay 1-5
2DXR50 mg/m230 minDay 1
3CDDP50 mg/m22 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
子宮体がんに使う薬物療法レジメン

TIP(PTX + IFM + CDDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

再発又は難治性の胚細胞腫瘍

◆減量基準

減量は行わない。骨髄抑制が強い場合、投与を延期する

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎、4 cycle。

◆投与方法

IFMによる出血性膀胱炎対策が必要である。Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1PTX175 mg/m224 hDay 1
2IFM1.2 g/m21 hDay 2-5
3CDDP20 mg/m22 hDay 2-5
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン

LEN + PEM は進行・再発子宮体癌に効果がある

Lenvatinib は multi-kinase inhibitor である。Pembrolizumab は免疫チェックポイント阻害薬(抗 PD-1 抗体)である。

Study 309-KEYNOTE-775 (2022年)は、プラチナ製剤を含む前治療歴のある進行・再発子宮体癌に対する Lenvatinib + Pembrolizumab と、化学療法(PTX 単剤または DXR 単剤)を比較した第3相臨床試験である。それによれば、ミスマッチ修復機構の破綻の有無に関わらず前者の方が OS も PFS も長かった。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

TC 療法は TI 療法に対して非劣性である(癌肉腫)

GOG-0261(2022年)は子宮または卵巣の癌肉腫を対象とした第3相臨床試験である。それによれば、TC(PTX + CBDCA)療法は TI(PTX + IFM)療法に対し、OSにおいて非劣性である。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

EP(VP-16 + CDDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

胚細胞腫瘍

◆減量基準

減量は行わない。好中球1000/μl未満か、血小板10万/μl未満の場合、投与を延期する

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎。胚細胞腫瘍のgood prognosis: 4 cycle。

◆投与方法

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1VP-16120-125 mg/m23 hDay 1-5
2CDDP20 mg/m22 hDay 1-5
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
薬物療法レジメン

BEP(BLM + VP-16 + CDDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

胚細胞腫瘍

◆減量基準

減量は行わない。好中球1000/μl未満か、血小板10万/μl未満の場合、投与を延期する

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎。Good prognosis: 3 cycle。Intermediate/ poor prognosis: 4 cycle。

◆投与方法

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1BLM30 mg/body30 minDay 1、Day 8、Day 15
2VP-16120-125 mg/m23 hDay 1-5
3CDDP20 mg/m22 hDay 1-5
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン

CDDP+CPT-11 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

卵巣癌、子宮頚癌

◆減量基準

患者の状態によってはDay 8、Day 15をskipする。また、CPT-11を50 mg/m2に減量する。

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

28日毎、6 cycle。

◆投与方法

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1CPT-1160 mg/m22 hDay 1、Day 8、Day 15
2CDDP60 mg/m21 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン
子宮頚がんに使う薬物療法レジメン

AP(DXR + CDDP) 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

子宮体癌(術後化学療法、転移・再発時化学療法)

◆減量基準

患者の状況によりDXRを15 mg/m2ずつ減量する。

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

28日毎、8 cycle。DXRの総投与量が多くなるため、8 cycle目はCDDP単剤を投与する。Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

◆投与方法

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1DXR60 mg/m230 minDay 1
2CDDP50 mg/m21 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
子宮体がんに使う薬物療法レジメン

PLD-C(PLD + CBDCA)+ Bev 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

白金製剤を含む薬物療法施行後に増悪した卵巣癌

ただし本法でのBevの使用方法は、保険適用外使用方法である。

◆減量基準

患者の状態によってPLDを5 mg/m2減量し、CBDCAをAUC = 1減量する。

◆Emetic risk:moderate

◆投与周期と回数

28日毎、6 cycle。その後にBev維持療法を行う場合、Bev単剤でPD(Progressive Disease)となるまで投与し続ける。

◆投与方法

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1PLD30 mg/m21 hDay 1
2CBDCAAUC = 51 hDay 1
3(Bev)10 mg/kg90-30 minDay 1、Day 15
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン

DP(DTX + CDDP)療法レジメン

◆婦人科での保険適用

卵巣癌、子宮体癌

◆減量基準

患者の状況により20%ずつ減量する。

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎または28日毎、6 cycle。

◆投与順と投与量

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1DTX70 mg/m21 hDay 1
2CDDP60 mg/m22 hDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン
子宮体がんに使う薬物療法レジメン

TP(PTX + CDDP)+ Bev 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

(TP療法):卵巣癌、子宮体癌、進行または再発の子宮頚癌、再発または難治性の胚細胞腫瘍

(TP + Bev療法):進行または再発の子宮頚癌

◆減量基準

患者の状況により以下のように減量する。

 PTXCDDP
通常投与量175 mg/m250 mg/m2
第1段階減量140 mg/m237.5 mg/m2
第2段階減量105 mg/m225 mg/m2

◆Emetic risk:high

◆投与周期と回数

21日毎。CR(Complete response)となるか、PD(Progressive disease)となるか、有害事象により続けられなくなるまで継続。

◆投与順と投与量

Hydrationやマグネシウム補充などが必要である。

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1PTX175 mg/m23 hDay 1
2CDDP50 mg/m21 hDay 1
3(Bev)15 mg/kg90-30 minDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。

卵巣がんに使う薬物療法レジメン
子宮体がんに使う薬物療法レジメン
子宮頚がんに使う薬物療法レジメン

GC(GEM + CBDCA)+ Bev 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

がん薬物療法後に増悪した卵巣癌

◆Emetic risk:moderate

◆減量基準

Day 8実施予定日の血液検査結果などによっては、GEMを50%減量または省略。

副作用の発現状況によって、GEMを800 mg/m2に減量する(第1段階)。さらに、副作用の発現状況によってDay-8を省略する(第2段階)。

◆投与周期と回数

21日毎、6-10 cycle。その後にBev維持療法を行う場合、Bev単剤でPD(Progressive Disease)となるまで投与し続ける。

◆投与順と投与量

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1CBDCAAUC = 41 hDay 1
2GEM1000 mg/m230 minDay 1、Day 8
3(Bev)15 mg/kg90-30 minDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。
卵巣がんに使う薬物療法レジメン

DC(DTX + CBDCA)+ Bev 療法レジメン

◆婦人科での保険適用

卵巣癌

◆Emetic risk:moderate

◆減量基準

好中球数などを見て、状況により投与を2週間延期する。また、DTXを60 mg/m2、CBDCAをAUC = 4に減量する。

◆投与周期と回数

21日周期、6 cycle。Bev維持療法を行う場合、Bev単剤 16 cycleを追加する。

◆投与順と投与量

Rp抗がん剤投与量投与時間投与日
1DTX70 mg/m21 hDay 1
2CBDCAAUC = 51 hDay 1
3(Bev)15 mg/kg90-30 minDay 1
拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』もご参照ください。

卵巣がんに使う薬物療法レジメン