卵管間質部妊娠の手術ビデオ

TC療法はTP療法に非劣性である-卵巣癌III期の術後補助化学療法

第3相臨床試験の結果

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

Imiquimod は VIN にも有効である

Imiquimod は尖圭コンジローマの治療に用いられる。同じ HPV 関連疾患である外陰の HSIL(vHSIL, VIN)にも効果があるだろうか。vHSIL に対する imiquimod と手術を比較した第3相臨床試験によれば、どちらも奏効率は 80% 程度で、imiquimod は手術に対して非劣性であった。手術は病巣切除が 42%、laser ablation が 54%に行われた。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

妊娠 24 週未満で血圧 140/90 mm Hg 以上なら降圧薬を投与する方がよい

妊娠中、血圧が 160/105 mm Hg 以上になると、通常は降圧薬が投与される。しかし、比較的軽症の妊娠高血圧で降圧薬を投与する方がよいかどうかはあまりよくわかっていなかった。第3相臨床試験の CHAP 試験によれば投与する方がよいようだ。

妊娠 24 週未満で血圧が 140/90 mm Hg を超えている場合、降圧薬を投与しない場合と比較して投与する方が preeclampsia や 35 週未満の早産のリスクを減少させた。降圧薬投与により低出生体重児は増加しなかった。降圧薬としては、約62%で labetalol が投与され、約36%で  nifedipine が投与された。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

プラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対する PARP inhibitor と化学療法の比較

Olaparib は PARP inhibitor である。Cediranib は VEGFR 阻害薬である。いずれも経口薬である。

NRG-GY004 は、最終のプラチナ製剤投与後6ヶ月以上経過して再発した卵巣癌を対象とした第3相臨床試験である。化学療法(TC 療法、GC 療法、PLD-C 療法)群と、Olaparib 群あるいは Olaparib+Cediranib 群を比較している。

その結果、Olaparib 群も Olaparib+Cediranib 群もいずれも化学療法群と PFS に有意差はなかった。

BRCA germline mutation がある場合、Olaparib+Cediranib 群は化学療法群よりも有意に PFS が長かった。Olaparib 群は化学療法群と有意差がなかった。

BRCA germline mutation がない場合、Olaparib+Cediranib 群は化学療法群と PFS に有意差はなかった。Olaparib 群より化学療法群の方が有意に PFS が長かった。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

PARP inhibitor は卵巣癌の OS を延長しないかもしれない

Cochrane review によれば、卵巣癌化学療法後の PARP inhibitor による維持療法は、OS を延長しない可能性がある。しかし PFS は延長する。

以上に加え、以下の可能性もある。

  • 化学療法に PAPR inhibitor を併用しても卵巣癌の PFS を延長しない。
  • プラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対する治療では、化学療法と PARP inhibitor で OS に有意差はない。
  • プラチナ製剤抵抗性再発卵巣癌に対する PARP inihibitor の効果は meta-analysis が行えるほどの evidence がない。
Archie Cochrane につきましては、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』のコラムもご参照ください。

dose dense TC 療法は、TC 療法と比較し、卵巣癌の OS を延長しない

Cochrane review によれば、卵巣癌に対するTC 療法と dose dense TC 療法の初回治療効果を比較し、両者で OS に有意差を認めなかった。PFS は dose dense TC 療法の方が長かった。ただしこの meta-analysis は厳密な意味では TC 療法と dose dense TC 療法を比較したものではなく、PTX を weekly で投与する効果を調べたものである。

この Cochrane review は、GOG-0262 試験、ICON-8 試験、JGOG-3016 試験、MITO-7 試験の meta-analysis である。これらのうち最初の3つの試験は TC 療法と dose dense TC 療法との比較であるが、最後のMITO-7 試験は TC 療法と weekly TC 療法との比較である。また、GOG-0262 試験では 84%で Bevacizumab が併用されているが、他の試験では Bevacizumab は併用されていない。

Archie Cochrane につきましては、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』のコラムもご参照ください。

LEN + PEM は進行・再発子宮体癌に効果がある

Lenvatinib は multi-kinase inhibitor である。Pembrolizumab は免疫チェックポイント阻害薬(抗 PD-1 抗体)である。

Study 309-KEYNOTE-775 (2022年)は、プラチナ製剤を含む前治療歴のある進行・再発子宮体癌に対する Lenvatinib + Pembrolizumab と、化学療法(PTX 単剤または DXR 単剤)を比較した第3相臨床試験である。それによれば、ミスマッチ修復機構の破綻の有無に関わらず前者の方が OS も PFS も長かった。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。

TC 療法は TI 療法に対して非劣性である(癌肉腫)

GOG-0261(2022年)は子宮または卵巣の癌肉腫を対象とした第3相臨床試験である。それによれば、TC(PTX + CBDCA)療法は TI(PTX + IFM)療法に対し、OSにおいて非劣性である。

優越性試験、非劣性試験、同等性試験の読み方は、拙著『婦人科がんの分子病理学と治療レジメン』で図解して説明しています。