卵巣癌に対するリムパーザ(オラパリブ)による治療

卵巣癌に対する Olaparib の効果は、Phase III の SOLO1SOLO2 で調べられている。

SOLO1

対象者

(1) BRCA 遺伝子変異陽性
(2) FIGO III期または IV期
(3) 化学療法開始前か開始後に手術
(4) TC 療法などの初回化学療法が奏功
(5) 漿液性または類内膜癌

この論文の Supplementary appendix によれば、結果は以下となっている。

PFS(Progression free survival)中央値: Placebo 群 13.8ヶ月 vs. Olaparib 群 49.9ヶ月

SOLO2

対象者

(1) BRCA 遺伝子変異陽性
(2) 再発した漿液性または類内膜癌
(3) TC 療法などで2回以上の治療歴があり、白金製剤が奏功
(4) platinum free interval が6カ月以上

結果は以下となっている。

PFS 中央値: Placebo 群 5.5ヶ月 vs. Olaparib 群 19.1ヶ月

これらの結果を踏まえ、Olaparib(リムパーザ)の添付文書上の卵巣癌に対する適応は以下のふたつのケースとなっている。

(1) 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法(←SOLO2 の結果による)
(2) BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法(←SOLO1 の結果による)

しかし、再発卵巣癌に対してはこれらの結果だけでは Olaparib は使いにくそうだ。プラチナ製剤感受性再発には、またプラチナ製剤を使えばよいように思える。SOLO2 試験では、再発卵巣癌に対し、一方の arm は Olaparib での治療だが、control arm は placebo(無治療)である。再発しているのに無治療なら、増悪するのは当たり前だろう。できれば control arm をこれまでの標準治療であるプラチナ製剤(の再開)にして比較してほしかった。

というわけで、Olaparib(リムパーザ)を使うなら、今のところは「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」だろう。アジア人では卵巣癌のうちの「BRCA遺伝子変異陽性」の頻度はよくわかっていないが、白人ではだいたい卵巣癌の 10% 程度が「BRCA遺伝子変異陽性」のようだ。むろん、既往歴・家族歴で乳癌や卵巣癌の存在があれば、「BRCA遺伝子変異陽性」の可能性は高くなる。